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銀座奥野ビル306号室プロジェクト日誌

銀座奥野ビル306号室プロジェクト

本郷館 展(佐藤)

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「本郷館」という木造3階建ての建物を御存知でしょうか。
この建物は、東京都文京区に106年もの永きにわたり建ち続け、現役の集合住居として使われていましたが、昨年8月、たくさんの人々に惜しまれながらも取り壊しが行われました。

 本郷館といえば、圧倒的な迫力の外観が有名であり、館内の写真は都築響一氏による「TOKYO
STYLE」(1993年刊行)にもいくつか紹介されていますが、居住者の安全のために内部見学や取材は禁止されており、敷地内への立入りも関係者以外許されなったため、建物内部を実際に見た人は限られていました。

 ここに展示した写真は、実際に私が「本郷館」に住みながら、壊される直前の約1~2年の間に撮影した建物や生活の姿ですが、建物が消えてしまった今では安全上の理由も無くなったため、今回の展示が可能になりました。
 展示された館内風景は、往時よりも住人が少なくなって生活感が希薄になっていますが、逆に生活感が無くなった分、本郷館本来の素の空間が浮かび上がってきていると考えています。

 また、「本郷館」と今回の展示会場「奥野ビル」との繋がりにまで思いを巡らせるとすれば、「本郷館」は明治後期から大規模な高級下宿屋として始まり、「奥野ビル」は関東大震災後の昭和初期に銀座の高級アパートメントとして始まったという経緯があり、両者はそういった時代の節目節目において現れた、日本の都市居住でイメージされた“新しい未来”も体現していたとも考えています。
 そして、「本郷館」も「奥野ビル」も、何十年もの時代を経た今もなお、人々に強い印象を与え、愛されて現役の居住空間でいられるのは、設備などの物理的な不便さはあれ、それ以上に人々の感性に建築空間が訴えかけてくるからでしょう。

 「本郷館」は歴史的価値も大きく取り上げられていますが、私が実際に住んでみて感じたことは「この空間は過去のものではなく、今後の日本の都市社会に向けて、未来の成熟した生活を考える上で一石を投じるものだ」ということでした。

 「本郷館」は関東大震災、東日本大震災にも耐え、その頑丈さを証明しながらも、残念ながら人の手によって壊されてしまいましたが、今回御縁があり、奥野ビル「スダ美容室」でその姿を紹介でき、交流できることは、今の時代、これからの時代の日本の都市居住、生活を考える上でも大きな意味があると考えています。

佐藤隆行
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hongokan-facade.jpg

本郷館 展

2012年5月28日(月) ~ 6月10日(日)

12:00~19:00 

*6月4日(月)の開室時間は、12:00~17:30まで

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「本郷館」という木造3階建ての建物を御存知でしょうか。この建物は、東京都文京区に106年もの永きにわたり建ち続け、現役の集合住居として使われていましたが、昨年8月、たくさんの人々に惜しまれながらも取り壊しが行われました。 本郷館といえば、圧倒的な迫力の外?...
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