2017謹賀新年 

明けましておめでとうございます。
今年も銀座奥野ビル306号室プレジェクトは、多種多様な企画を用意して、皆さまのお越しをお待ちしています。

昨年、プロジェクトの活動に賛同しご寄付をお寄せいただきました皆さま、心より感謝申し上げます。
寄付金は、306号室の維持のために、大切に活用させていただきます。

金額:21,330円

皆さまにとって良い年でありますように。


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謹賀新年 

あけましておめでとうございます。
今年も、銀座奥野ビル306号室ブロジェクトでは、いろいろな企画を用意しています。どうぞお楽しみに。

昨年、皆様から寄付金箱に31,167円をお寄せ頂きました。どうもありがとうございました。
寄付金は、306号室の維持保存の為に、大切に活用させて頂きます。

皆様にとって素敵な年でありますように。






ホセイン・ゴルバ展「精神の状況~メッカ巡礼者の衣装」の報告 

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展示作品はイラン出身の美術家ホセイン・ゴルバが1991年に制作したもの。イタリアの美術の副読本に現代を代表する作品の一つとして作家の以下の文章と共に掲載された。

鑑賞者に多様な解釈を提供できる作品は、作家にとって価値のある作品と言えるでしょう。
窓の外の風景が一日のうちに刻々と変化して見えるように、わたしは鑑賞の度に作品への印象が変わるような作品を制作したいと思います。
このインスタレーションは、手縫いの白いシャツを床に広げてシャツの左上、ちょうどシャツを着た人の心臓のあたりに赤い立方体の石を置いたシンプルな作品です。
鑑賞者はこの作品を自由に解釈してもらえればと思います―たとえば 「あの石は心臓の重しなのかな」 あるいは 「あの石はシャツが動かないように置かれているのかな」 「色の対比によって、白は赤があることでより一層白く、赤は白があることで一層赤く見えるのかな」 など。
                                                 
会期中(9月20日~26日、但し24日はお休み)東京ステーション・ギャラリー冨田章館長など100名ほどの来場者があり、初日のトークには座高円寺芸術監督の佐藤信さんほか8名が参加した。トークの要旨は以下の通り。

私は作品の要素として「目に見えないもの」を大切にしている。「目に見えないもの」を美しい言葉で表したのは、「星の王子様」の著者サンテグジュペリで、彼は「目に見えなくても、心で見ることが出来る」と言っている。
この作品のタイトルは「精神の状態」となっているが、これまで私は同じタイトルの作品をいくつか作っている。「精神の状態」は目に見えないものだが、それをどう表現してきたのかを紹介する。1977年の「精神の状態」では、ひまわりが太陽に花を向け、その上に石がのっている作品。これを描いた時は、絵の勉強のためイランからイタリアに来て1年ほど経った頃のことだ。石がのっても太陽に向かって伸びようとしている状態を表している。
1991年には、白いジェッソで型取りした鉢に青いガラスの塊をのせたものを12個、時計のように円形に並べた。円形のスペースには花壇のように土を入れ、バラの花びら撒き、所々に青い顔料を置いた。バラの花、青い顔料、白い鉢が光を受けてとてもきれいだった。
同じ年に造られたのが、この「精神の状態 メッカ巡礼者の衣装」である。メッカ巡礼に着る衣装は決まりがあり、白くて素材も決まっており、手で縫うことになっている。この衣装は死ぬ時にも身に着ける。また、巡礼というのは一度死ぬことを意味する。この作品は1991年の私、つまり故国を離れ、他国で生活している私の「精神の状態」を表していると同時に、世界や社会の「精神の状態」でもある。その時にも戦争は絶え間なく起こり、今日と同じように移民や難民の問題があった。
白い布があり、その形は十字架のような形をしている。そして布の上に重い石がのっている。その重さを軽やかに見せるために赤い顔料を塗った。白と赤という色の幸せな関係を見せたかった。・・・実際には私の精神の重さを表したかった・・

さきほどサンテグジュペリの「目に見えるもの」についての話をしたが、私の作品の根幹にあるのは作品がポエティックであるかどうかだ。そういったことを感じていただければ嬉しく思う。

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床の上に置かれたメッカ巡礼者の白い衣装は、心臓部に乗る重い赤い石と朱色のカーペットと不思議なリズムを醸す。さらに晴れた日に窓から入る陽光を浴びると生命感を漲らせる。多様な意味を持ち、多様な姿を見せる作品であった。

作家はこの作品を過去の作品としてではなく、今日の作品として、今回展示した。会期の半ばにメッカの大惨事の報に接した。朱の床に置かれた巡礼者の衣装が、その報と重なり複雑な気持ちに襲われたことを付記しておく。(文責 西松典宏)

西洋館物語「晩香廬」、「青淵文庫」上映会の報告(西松) 

西洋館物語「晩香廬」、「青淵文庫」上映会の報告(西松)

ビデオは銀行や鉄道など五百を超える会社を設立、教育や病院等の社会事業に尽力した実業家・渋沢栄一の業績と生涯を織り交ぜ、彼の喜寿、傘寿の祝いとして飛鳥山の自邸「愛依村荘」に建てられた「晩香廬」と「青淵文庫」を紹介している。晩香廬は、数寄屋風洋館で、赤色塩焼き瓦の屋根に煙突、軒壁はハーフ・ティンバー、玄関には氷裂型の鉄平石・・鉄筋コンクリートの青淵文庫は、直方体を並べた端正な外観、窓のまわりの壁には柏の図柄の装飾タイル、欄間のステンドグラスは、左右に昇り竜と下り竜を配し、寿の文字・・・いずれも隅々まで細かな工夫や配慮が見える珠玉の作品。空襲の戦火を免れたことは幸いだった。
渋沢は、民間外交にも力を尽くし、グラント将軍を始め多くの外国人を自邸に招いているが、インドの詩聖タゴールを招いた時の貴重な映像があった。タゴールを案内する仕草にどこか人間的な魅力が漂う。渋沢はまた、孔子の論語に学んだ道徳経済合一説を唱えた人物として有名で、その肉声が残されていた。落ち着いたしっかりとした口調。文字では伝わらないものを伝えるこうした資料は、過去を総合的に理解するため、ますます重要になるだろう。

二つの建物を設計した建築家の田辺淳吉は、時間の制約のため、詳しく紹介されなかったので、調べてみた。2007年発行のINAX REPORT No170に田辺淳吉が特集され、清水建設研究所の松波秀子氏が記事を書いていた。それによると田辺淳吉は、明治12年、東京の本郷に元福山藩士で宮内庁の役人の家に生まれた。父は書画をよくし、兄は画家であった。明治36年に東京帝国大学工学部建築家を卒業し、清水組に入店。明治42年には渋沢栄一を団長とする実業団旅行に参加後、単独で北米と欧州各地を歴訪した。そして、清水組の技師長として活躍した後、大正15年に47歳で亡くなった。
代表作にゼセッション様式の「大阪瓦斯」、鉄筋コンクリートの「澁澤倉庫」など。現存する作品としては、高岡共立銀行(現・富山銀行本店)と世田谷から深谷に移築された誠之堂(第一銀行の保養施設に建てられた渋沢栄一の喜寿を祝う記念館)がある。晩香廬は当時の建築家に「和洋の様式を渾然一和した手腕は羨望に堪えない」「総ての部分が周到なる用意を以て意匠せられている」と絶賛されていた。
松波氏は、「晩香廬で特筆すべきは、建築と工芸の提携という新しい試み」がなされたことだという。建物に合わせて、茶器、花器などの備品を、藤井達吉、富本憲吉など当時新進気鋭の工芸家たちに建物の概要を説明し、制作を依頼した。「誠之堂における田園趣味の英国農家風」と合わせてみると「田辺の目指したものは、日本におけるアーツ・アンド・クラフツ建築であった」と記す。
特集に田辺の卒業設計図が掲載されていた。2階建ての美しい洋館で壁や窓、屋根のすべてに細かな装飾が施され、おとぎの国の建物のようだ。それを見て思った。田辺はまだ、これからという47歳で亡くなったが、自分の本領を存分に発揮して、夢を実現したのだと。

306号室のヴィーナス ~遠藤和希子展~ 

裸婦をテーマとした遠藤和希子の新作展を見る。部屋に入ると、扉やカーテンで動線が作られ、絵を巡りながら奥へと誘われる。しかも場所に合わせて作品が置かれている。「入口以外の作品はすべて、306号室のために描いた。部屋と絵があってこそ完成する作品を目指した。」という。

私が気にいった作品のひとつは、ベッドの上に置いた絵に描かれた裸婦の半身像。現実のベッドと絵のヌードを組み合わせたところが新鮮だ。しかも画面の大半は、空白になっており、両端に身体が分かれている。見ていて困惑し、一つになった姿を妄想する・・・。どうやら作者は見る者が考え込むことを、初めから読みこんでいるようだ。

ヌードというのは、人類美術史上、最も古い題材で、旧石器時代から現代まで、何万回となく描かれてきた。ジョルジョーネの「ウルビーノのヴィーナス」、マネの「オランピア」と名作も多い。それには理由があって、最も普遍的で単純な題材であるがゆえに、前の時代にはなかった新しい意味付けと造形が必要とされたからであろう。

日本の商業文化の中心地である銀座に作られた古いビルの一室に出現した新しいタイプの裸の女性たち。どれも絵の構造と場とが見事に合体され、見る者を挑発し、勝手気ままなポーズを取り、飛んだり跳ねたり・・。それを見ているうちに、ある解放感が伝わってくるのを感じたのだが。それは一体なぜだろうか?

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